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日本農業経営学会
 

会長からのご挨拶


 我が国の農業経営は、激動する世界経済や農業を取り巻くさまざまな環境要因の変化を受けて、変革の時を迎えています。意欲ある先進的な農業経営者の中には、そうした変化をチャンスととらえていち早くイノベーションに取り組み、すでに経営発展の成果が目に見える形となって現れつつあります。


 個人経営から発展した多くの農業法人経営は、他産業の中小企業経営や先進諸国の農業経営と比肩しうる経済規模に達しています。また、農業で生計を立てる個人経営でも大規模化や雇用導入が進んでいます。さらに、既成の概念にとらわれない一般企業の農業参入も社会的な注目を集めています。こうした農業経営の中には、市場志向のビジネスモデルや高度な生産管理・経営管理という点で、世界的にも先駆的と言える経営が多数みられます。企業家精神に富み、経営革新に果敢に挑戦する農業経営の持続的発展に寄与することは、本学会の社会的責務の一つであることに異論はないでしょう。


 農業経営の新しい潮流が注目を集める一方で、生活者視点に立ち、額に汗して作物や家畜を育て、こうした食材を活用した食品加工に挑戦する農的生活に関心をもつ若者や定年帰農者も増えています。兼業農家ではますます高齢化が進み、遊休農地が増加している懸念があるのも現実です。換言すれば、統計上の「農家」という概念では現実が見えなくなるほど、農業経営の多様化が進んでいると言えます。このため、地域農業における多様な農業経営体の役割分担と連携の在り方を再構築することが必須になっています。


 このような農業経営を取り巻く環境のかつてない変化の中で、地域農業の持続的発展を担う農業経営者の育成とその指針となるマネジメント理論の再構築は急務であり、農業経営学の大きな課題のひとつにほかならないとその責任の重さをあらためて実感しています。


 本学会がその社会的使命を果たすためには、学会自体も環境変化に応じた革新を絶えずはかりつづけることが求められています。例えば、我が国の農業経営に対する国内外の関心の高まりに対応して、本学会の潜在的なステークホルダーも多様化している点を考慮する必要があります。大学、研究機関、行政機関、農業経営体、農業関連団体・企業、教育研修機関、他学会等との交流を今まで以上に密にしていきたいと思います。また、「和食」のユネスコ無形文化遺産登録、「能登の里山里海」、「静岡の茶草場農法」の世界農業遺産認定など、我が国の食、農法、農業、農村、さらには農業経営に対する海外からの関心も高まっています。こうした国内外の多様化したステークホルダーに対して、本学会として積極的なアウトリーチを行い、研究成果の実践性を向上させることも、学理の追及と並んで重要な責務といえます。


 日本農業経営学会は、1948 年に発足した「農業経営研究会」を前身とし、1983 年に学会組織を整備して現在に至っています。今期は、研究会発足から66年、学会設立から31年目にあたります。研究会発足から1世紀にあたるまでの30数余年を見据えたビジョンの再構築とその実現を担保する体制を検討すべき重要な時期とも言えます。


 会員諸賢の堅実な研究活動と共に農業経営者をはじめとする関係各位のご協力、ご理解に支えられて、本学会は多様で豊富な研究成果を蓄積し、社会に還元してまいりました。今期は、特に産業横断的・国際的な視点も意識しつつ、若手の研究者と共に農業経営者や関連領域の次世代を担っていく人材育成に一層貢献できる体制を構築するとともに、学会活動の成果を多様なステークホルダーに還元できるように組織革新を実践してまいりたいと考えております。


 会員各位および関係各位のご理解とご支援、さらに忌憚の無いご意見を頂けるよう、心からお願い申し上げます。


2014年10月  
日本農業経営学会会長  南石 晃明
  
 

日本農業経営学会の目的

本会は,農業経営に関する理論及びその応用を研究し,もって学術・文化ならびに農業経営の発展に寄与することを目的とする。
 

日本農業経営学会の沿革

1948年本学会の前身である「農業経営研究会」が発足。
1964年機関誌「農業経営研究」を刊行。
1978年会の名称を「日本農業経営研究会」に改める。
1983年「日本農業経営研究会」から「日本農業経営学会」に移行。
現在に至る
 

日本農業経営学会の活動内容

  1.     年1回研究大会を開催し、シンポジウムと個別研究発表会およびその他を併せて行う。
  2.     機関誌「農業経営研究」を年4回発行する。発行月は6月、9月、12月、3月とする。
  3.     農業経営研究上の顕著な業績に対し学会賞を授与する。
  4.     その他目的を達成するために必要な事業を行う。
 
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